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ガンによる痛みは、「鋭い痛み・鈍い痛み・断続的な痛み・持続的な痛み・安静時におこる痛み・運動時におこる痛み・夜間におこる痛み・・・」などの生理的な痛み、また精神的、心理的痛みなど「痛み」そのものを包括しているといえるでしょう。これらの痛みは、部位や神経の種類、また障害の程度によって性質や強さが異なります。その違いはいくつかの種類に分けることができます。 |
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ガン自身が原因となる痛み |
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神経や神経叢への浸潤、圧迫 |
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神経や神経叢に対する刺激によるガンの痛みは、多種多様な痛みを引き起こします。特に肺ガンの肋間神経や腕神経叢への浸潤や圧迫、消化器ガンの腹腔神経叢 や腸間膜動脈神経叢などへの浸潤は強い痛みを伴います。さらに、脳や脊髄神経への浸潤や転移においても同様に多種多様な痛みが起こります。 |
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骨組織への浸潤・転移 |
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骨膜には知覚神経枝が分布しており、骨髄にも知覚枝の存在が認められています。したがって骨組織へのガンの浸潤は当然痛みの原因となります。また、ガンにより病的骨折を起こすことがあり、これも周辺の神経を圧迫することにより強い痛みを伴います。 |
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管腔臓器への浸潤、圧迫 |
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ガンの浸潤が痛みに関連する神経などに及ばなくとも、消化管や尿管などの管腔臓器の通過障害というかたちで、痛みが起こります。 |
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血管、リンパ管への浸潤、圧迫 |
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血管、リンパ管へのガンの浸潤は、血流、リンパ流のうっ滞を招き、大量の発痛物質の貯留を起こします。また、動脈の完全閉塞が起きると壊死による痛みが生じます。 |
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ガン周囲組織の炎症、壊死 |
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発痛物質の大量の産生や貯留が起こると当然痛みの原因になります。 |
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ガンによる二次的痛み |
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長期臥床による体力低下、悪液質などや褥創や便秘などによる腰痛・関節痛・筋肉痛などが生じます。また、免疫力の低下で発症する帯状疱疹痛もあります。 |
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ガン治療による痛み |
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手術による瘢痕性疼痛、反射性交感神経性ジストロフィー、カウザルギー、幻肢痛などが典型的なものです。開胸術後疼痛症候群をはじめ手術後に起こる痛みは多く発生します。 |
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心因性の痛み |
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長期間の入院や家族、社会からの隔離、ガン自体やその治療からくる全身衰弱、食欲不振など、患者を取り巻く全ての環境の変化やストレスは心因性疼痛を招きます。 |
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末梢神経の損傷が原因 |
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歯を抜いたり、ケガをしたり、あるいは手術の後で、後遺症として焼けるような痛みの発作が起こることがあります。これをカウザルギーといいます。カウザルギーとは灼熱という意味で、末梢神経が傷ついた後に焼けるような痛みが起こることからこの名前がつきました。神経に損傷がない、あってもごくわずかなものでしかない、というときにもカウザルギーと同じような痛みが起こることがあります。こちらは反射性交感神経ディストロフィーといいます。 |
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ほうっておくと痛みが慢性化する |
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抜歯やケガ、手術や注射、点滴などの後にじわじわとくる痛みを感じたら、ペインクリニックで治療を受けるようにしてください。すぐに治療すれば、これらの痛みは比較的簡単に治ります。ところが、痛みはじめて半年以上もほうっておくと、痛みはそう簡単には取れなくなってしまいます。というのも、脳が痛みを記憶して慢性痛となってしまうからです。特に外傷を受けた後で起こる痛みは、慢性痛として残さないために、早い段階で取り除くことが肝心です。 |
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帯状疱疹とは、神経節に潜伏感染していた水痘・帯状疱疹ウィルスの再活性化によって、皮疹と疼痛を生じる疾患です。 |
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ブツブツと強い痛みが特徴 |
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帯状疱疹にかかると、皮膚に帯状の水泡のようなブツブツができ、それがヒリヒリ、ビリビリと痛みます。ときには熱が出たり、リンパ腺が腫れることもあります。体じゅう、どこにでも起こりますが、特に多いのは胸や額です。ブツブツが胸に出た場合は腕の力が、腰に出た場合は脚の力が弱くなります。また、仙骨部に出ると尿の出が悪くなることもあります。額に出ると、角膜炎を起こして眼球が動かなくなることもあります。通常、帯状疱疹の痛みは発病後二週間でピークに達し、激しい痛みが起こります。 |
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最適な治療は“神経ブロック療法” |
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帯状疱疹の治療には、痛みの悪循環を取り除く神経ブロック療法を用います。顔や上肢、胸までの帯状疱疹には星状神経節ブロックを、それ以外の部分のものには硬膜外ブロックを行います。これらは局所麻酔薬を使って一時的に神経の興奮伝達を遮断するブロック法ですが、麻酔薬の効果がなくなっても、交感神経をブロックすることで血流を良くし、ウイルスに冒された組織に集まっている有害物質をすみやかに運び去ることによって、痛みをやわらげるだけでなく、炎症をおさえ、疱疹の治りも早めることができます。 |
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帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の合併症として起こります。その痛みは、罹患部の皮膚表面やその深部に起こり、灼けるような痛み、刺すような痛み、電気が走るような痛み、締め付けるような痛みなどがあります。 |
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帯状疱疹の早期治療が最大の予防法 |
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帯状疱疹が治った後に上述の慢性的な痛みが残ります。最大の予防法は、発症して二週間以内に神経ブロックによる治療を受けることで、神経障害を残さないようにすることです。 |
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持続してブロック(遮断)する |
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帯状疱疹後神経痛の治療法には、神経ブロックに高周波熱凝固法などを部み合わせ行います。帯状疱疹の場合は、一時的なブロックを行いますが、帯状疱疹後神経痛では持続的にブロック(遮断)します。 |
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症状はさまざま |
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自律神経失調症の症状には、だるい、疲れやすい、頭が重い、胃が重い、よく眠れない、心臓がドキドキするなど様々ですが、更年期障害、うつ病、ノイローゼなど、心因性によるものが多いとされています。 |
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交感神経の過緊張 |
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交感神経の過緊張により起こっているものがあります。心臓がドキドキしている、ちょっとしたことで汗をかく、やたらと冷や汗が出る、よくのぼせるというような症状です。交感神経ブロックにより、交感神経の緊張を緩める治療を行ないます。 |